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宗教法人の労働保険・社会保険③ ~副業していれば関係ない、わけではない~

2026年6月4日

このシリーズ、それなりに私の強みなのでもっと更新しているつもりだったのですが、半年ぶりになっていますね。

年をまたいでそれなりに仕事が増えてきたためそちらに取り組む一方でこちらの意識が完全に抜けていました。

前振りで終わって更新がないというイマイチなパターンとなっていますが、いまさらながら予告通り続きを。

テーマはタイトルの通り、私のように兼業住職のパターンです。

多くの方は寺院といえば莫大な資産を持っていて左団扇で暮らす、のようなイメージをもっているようですが、それは多数派ではないと思います。

私のように外に仕事をして生活を確保する方もそれなりに多いです。

そうすると、そちらの仕事で厚生年金に加入しているので問題なし、と考えるかもしれません。

これは半分正解、半分間違いです。

先に正解のほうからいきますが、厚生年金の被保険者種別には1号~4号があります。

2号は国家公務員、3号は地方公務員、4号は私立学校職員(非常勤講師等、加入していない方もいます)です。

1号はその他、つまり、一般的な会社員等ですが、宗教法人が厚生年金に加入していればここになります。

この1~4号、他と兼ねることができません。

たとえば、公立中学の専任教員を兼業している住職がいた場合、基本的には3号被保険者となります。

そのため、その住職の寺院で厚生年金に加入すべき労働時間で勤務しているのがその方のみであれば加入者がなし、その時点では加入の必要がありません。

注意してほしいのはそれでも寺院の収入が多く、そこからの給与が完全に兼業の場合。

土地持ちで不労所得を得られていてもヒマだから外で働くか、のようなケースだとどちらで加入すべきか実施機関に確認する必要があるとのことです。

一方、会社員だったり自力で法人を立ち上げて運営している住職もいます。

こうした方は先の1号被保険者となりますが、1号は副業をしている場合兼ねることになります。

A社で会社員、B寺で住職という方は寺院のほうでも法人の従業者として加入する必要があります。

代表役員であっても法人から給与を得ている面は労働者のため、労働保険に関しては不要ですが社会保険のほうは加入しなければなりません。

そして、保険料は双方の給与を合算した上で比率に応じた按分となります。

具体的にいいますと
A社の給与20万円
B寺の給与10万円、ともに令和8年都内勤務の場合
→双方の給与を足して標準報酬月額表に当てはめると30万円
40~65歳の介護保険2号被保険者であれば個人負担分は
A社が健康保険34,410円×1/2×2/3 厚生年金54,900円×1/2×2/3
B寺が    〃      ×1/3     〃   ×1/2×1/3
※各1/2しているのは半分は法人負担のため
となります。

しれっと専門用語が出ましたのでフォロー。

まず、標準報酬月額ですが、個人の給与はそれなりにバラつきがあります。

それをいちいちケースバイケースで計算すると面倒なので、「一定範囲の給与の人は○○円扱い」という概算を行うものです。

先の30万円ですが、「月給29万円以上31万円未満の人は全て30万円扱いにします」ということで30万円となっています。

例に出したA社21万円、B寺8万円という給与の場合でも月給自体は29万円ですが、保険料の計算の基準となる額としては30万円で、という扱いになります。

さて、これが何故問題なのかといいますと、B寺で社会保険に加入していなかった場合、不当な所得隠しになります。

A社でのみ社会保険加入で保険料を支払っていた場合、標準報酬月額が20万円となり、そこでの保険料が算出されます。

本来プラスする10万円がごまかされて保険料が安くなっています。

厚生年金は納める額が大きいほどリターンは大きくなるので長い目で見ればデメリットがあるかもしれませんが、保険料のごまかして安くしていること自体は不正です。

なので、外で仕事して保険料を払っているからセーフというわけではありません、しっかり確認して然るべき手続きが必要な場合もあります、注意してください。

なお、私のように一人でやっている個人事業主であればそちらと社会保険料は関係ありません、そのような方は安心してください。

また、外に仕事がある方については定年後のメリットが明確にあります。

65歳で定年すると会社のほうで社会保険に入れませんが、寺院のほうでは引き続き加入することとなります。

定年後、国保が高いなどという声もよく聞きますが、寺院の給与所得のみで健康保険を継続できますので、個人負担は抑えられます。

健康保険は75歳まで加入可能ですし、被扶養者の概念もあります。

さらに、厚生年金保険も70歳まで加入することになりますが、被保険者月数が延びます。

厚生年金額の計算には被保険者月数を掛けるのですが、多くの方が65歳で打ち止めの厚生年金額をしばらく増やすことも可能です。

また、寺院で国民年金を納めている方はそれはどうなるかと不安かもしれませんが、厚生年金に加入していると国民年金の保険料も同時に納めていることになります。

65歳から厚生年金と基礎年金(国民年金)の二本立てになります、当然額は増えます。

しばしば、働いていると厚生年金がもらえないなどと誤解している声がありますが、長くなりましたのでそれを次回のテーマとしようと思います。

忘れなければ1月以内更新目標です。

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