宗教法人の労働保険・社会保険⑤ ~法人+個人事業主の方、損してます~
2026年9月14日
順番なので予定通り書きますが、こちら外部の連載記事の次回分と内容と少しかぶります。
それをいうと前回の記事もそうなのですが、それだけ需要があると思しき内容です。
宗教法人に特化(その他の業種でも当然当てはまります)して進めることで少し差別化できれば、といったところです。
そんなわけで本編、今回は副収入がある方向けです。
宗教法人一本で収入はそこからのみ、という方は実のところ多くはないのではないでしょうか。
私自身もそうですし周囲にもいますが、小さい寺院であれば外部で仕事を持つことも一般的です。
大学院まで出るような方であれば、宗派のほうから講師依頼がきてそこからの収入を得る方もいるでしょう、こちらも私の友人でもいます。
あと、よくあるのは不動産収入でしょうか、マンション数室所有して賃貸に出しているなど、規模は様々かと思います。
当然ながら、所得税や住民税はそれら全体から計算されます。
では、社会保険料はどうなのか、これは少し違いが出てきます。
まず、国民健康保険加入の場合(何度もいいますがこの状態は違法です)です、これは先と同様になります。
法人からの給与はもちろん、その他の副収入も全て計算対象になります。
一方、法人のほうで社会保険に加入している場合、保険料の計算対象は法人からの給与所得のみとなります。
どういうことかといいますと、令和8年度で以下のような世帯があったとします。
・法人の所在地:東京都港区
・世帯構成:夫45歳 妻42歳 子10歳 子8歳
・法人からの給与:夫360万円(月給30万円) 妻120万円(月給10万円)
・講師謝礼・不動産賃料:240万円(月20万円)
国民健康保険加入・国民年金1号被保険者の場合
・国民健康保険料:月約73,000円
・国民年金保険料:月約36,000円
健康保険・厚生年金保険加入者の場合
・健康保険料:月17,205円(+子ども子育て支援金345円)
・厚生年金保険料:月27,450円
※こちらは個人負担分、同額を法人が負担します
※法人全額負担の子ども子育て拠出金(料率3.6/1000、1000円程度)が別にあります
健康保険料については法人負担分を含めて月34,410円(+790円)としても国民健康保険料を下回ります。
このような差がある要因としては国民健康保険には
・被扶養の概念がない
・月20万円の副収入も計算対象になっている
・配偶者の収入も計算対象になっている
という点が挙げられます。
健康保険については給与の30万円のみで計算されており、「130万円の壁」を超えていない配偶者は被扶養という扱いで、そちらの給与も計算対象外です。
加え、半額は法人負担なので個人としての支出はかなり抑えられます。
たびたび出していますが、国民健康保険と国民年金はどのような状況に於いても一切経費にならず全額自己負担です、計上している方はすぐに取りやめて修正してください。
もし、副収入が別法人の代表として得ているものであれば、そちらも社会保険加入が義務となり、保険料は按分となります。
不動産収入などは相続を考慮して別法人を立てて、のような方もいるかもしれませんが、その場合の給与は保険料の対象となります。
簡単にいえば「副収入が個人事業主としての所得」であれば法人で社会保険に加入している方はその分を軽減できるということです。
なので、たびたび講師でお呼ばれして個人に対し謝礼が出ているような研究者の方などは恩恵を受ける可能性が高いというわけです。
ただ、そのような立派な先生であれば、違法状態を放置するようなことをしてほしくはないところではありますが。
一方、厚生年金保険料は個人負担でいけばやや安くなり、全体で見ればやや高くなっています。
とはいえ、これにも大きなメリットがあるといえます。
繰上げ・繰下げをしなければ65歳から老齢年金が受給できます。
先の国民年金の保険料を納めている1号被保険者であればその際のリターンは国民年金からの老齢基礎年金のみです。
一方、厚生年金保険料を納めていれば、その期間中の報酬及び月数に応じた老齢厚生年金も加わります。
しばしば、「二階建て部分」と説明されますが、その通り年金が2本立てになります。
年金は基本、「一人一年金」ですが、同一事由のものと一部例外は併給が可能です。
しかも、厚生年金保険料には国民年金保険料も含まれているため、必ず両方が受給できることになります。
更に、配偶者が被扶養の枠内にあれば国民年金の3号被保険者として老齢基礎年金の計算の対象になります。
つまり、特別何かを納めていないものの年金は受給できるという状況になります。
2人分の国民年金保険料が込みの上に厚生年金の上乗せがあるという考え方をすれば、厚生年金保険料が多少上がったところでデメリットと感じにくいでしょう。
上記の例ですと個人負担で見れば額が下がっていますので、負担は減って受給が増えるという逆転現象が発生します。
ただ、60歳以降の国民年金保険料がかからない時期に差し掛かるとその分のお得感は薄れてしまいますが。
前回、リターンについては軽く例示をしていましたが、厚生年金の額は加入期間とその間の給与で決まります。
計算式としては(平成15年4月以降)
平均標準報酬額(賞与含)×5.481/1000×加入月数
となるので、加入期間が長いほど、その間の給与が高いほど額は大きくなります。
先の例の場合、45歳から65歳まで給与額同じで厚生年金保険に加入した場合の保険料は単純計算すると年額約39,5万円、月額約3.3万円になります。
厚生年金保険には70歳まで加入できるため、最終的には年額約49万円、月額約4.1万円まで伸びます。
条件次第では一定期間の加給年金が加わる場合もあります。
老齢基礎年金は令和8年では月額約7万円、それが2人分だと14万円、国民年金のみではそれのみですが、老齢厚生年金が受給できる場合には上記がプラスとなります。
給与額が上がれば当然将来的な受給額も増えます。
また、45歳から加入だとそこまで月数が伸びませんが、次世代を考えた場合には20代前半からの加入でそれが倍くらいまで伸ばせ、額面にも少なからず影響が出ます。
給与や年齢等に応じて条件は変動しますので、説明の際は具体的な数値シミュレートを入れております、お問合せいただいた場合は上記の情報いただければそれで、秘密にしたい場合は想定でのものを入れて持参します。
また、宗教法人であれば将来の給付や現状の手取りに応じた調整もしやすいと思います、そちらの計算についても対応いたします。
特に今回の条件にあたる方はぜひご連絡ください。
それと、もちろん社会保険料の自己負担分は全額社会保険料控除対象となりますので、年末調整で活用してください。
次回はこれだけだと割高と感じてしまった方向けの障害・遺族年金のお話予定です。
定例ブログと1周年のお話
2026年9月1日
9月1日をもって開業1周年を迎えました。
収支でいうとお小遣いレベルではあるのですが、仕事もそれなりにこなして経験としてはかなり得られたかと思います。
一方で、思い通りにいかない、想定とは異なることも多いのですが、それはそれで当たり前のことですね。
そうはいっても、昨年内くらいはブログ書くくらいしか仕事がないのではと不安になったところもありましたが、やはり社労士の需要はそれなりにあるようですね。
来月からのカスハラ対策義務化もありますが、外部窓口のお話も来ておりますので、一層需要は増えるのではないでしょうか。
しかし、やってみないとわからない実務面のことは多いですね。
調べたり確認すれば当然のような話でも、意外と咄嗟の判断だと困ることもありました。
特に給与計算絡みだと税制のことも出てきますが、これが厄介ですね。
年金等についてはしっかり勉強してるので資料作り含めスムーズだったのですが、給与計算や助成金については実務経験ある方のほうが圧倒的に強いでしょうね。
とりあえずは1年耐えたので、そのあたりも埋まっていくことでしょう、2年目はもうちょっと手広くやりたいですね。
そういえば、サイトのLLMO対策をガッツリ目にしました。
一応、強みとメインは宗教法人絡みなので、より多くのアクセスや依頼があると嬉しいところです。
特に所帯がある方は基本的にメリットまみれの内容だと思うので、ぜひお問合せください、まだ余裕ありますので。